U-23アジア杯で、見事にパリ五輪出場の切符をつかみ取った大岩ジャパン。
いよいよ、2024年7月に開幕をむかえる、パリ五輪本大会に向けての選手選考が始まりました。
わずか18人の登録枠を争うパリ五輪世代の候補には、これまで大岩ジャパンに招集されてきた86人の選手に加え、現在クラブとの交渉が進められている、久保建英選手もいます。
そこにオーバーエイジ枠の3選手を加えることを想定すると、パリ五輪の選手選考は、至難を極める大仕事になります。
そこで今回は、サッカーファンの中でも熱い議論が交わされている、パリ五輪サッカー日本代表メンバーを予測していきます。
さらに、オーバーエイジ枠や、久保建英選手招集の可能性についても解説していくので、みなさんが考えるメンバー予測とも照らし合わせながら、最後まで楽しんでみてください。
Contents
パリオリンピック代表メンバー予想
引用:X
U-23日本代表を率いる大岩剛監督は、「東京五輪以上の成績は当然求められる。メダルを獲るという期待に応えたい」と、パリ五輪への意気込みを話しています。
このことから、U-23アジア杯ではクラブ事情などで招集できなかった海外組に加え、24歳以上のオーバーエイジ枠をフルに使った最強布陣でオリンピック本大会にのぞむことが濃厚です。
とはいえ、オリンピック本大会の登録枠はわずか18人。U-23アジア杯の登録枠23人から、5人も少なくなります。
そこで、選手選考において優先していきたのは、複数ポジションをスムーズにこなせる「ポリバレントな能力」をもつ選手。さらに、プレースキッカーや、ドリブラー、ターゲットマンといった、独自の「スペシャリティ」をもった選手です。
このことを基準に、2ヶ月後に迫ったパリ五輪代表メンバーを予測していきます。
当然、海外組に関しては、クラブ事情により招集を断念せざるをえない選手が出てくる可能性もありますが、ここでは、交渉がスムーズに進むことを前提に招集メンバーを紹介していきます。
それでは、ポジション別で予想メンバーをみていきましょう。
GK
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GKは、アジア杯でA代表の正守護神の座をつかんだ、鈴木彩艶選手(シント=トロイデン)と、U-23アジア杯で安定感抜群のゴールキーピングを見せた、小久保玲央ブライアン選手(ベンフィカ)の、2人で決まりといっていいでしょう。
小久保選手は、守護神としての活躍のほかに、ムードメーカーとして、チームに一体感をもたらしてくれる期待もあります。
パリ五輪本大会で、大岩剛監督が、どちらを正守護神として選ぶのかに注目が集まりそうです。
CB
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パリ五輪世代で、絶対的な存在がいないCBは、大岩ジャパン最大の補強ポイント。
ここで、2枠のオーバーエイジ枠を使うのがベストだと考えます。
オーバーエイジ1人目は、守備の軸となってチームを支えてくれる板倉滉選手(ボルシアMG)です。チーム全体を統率する役割も期待されていることから、今回のオーバーエイジ枠、最有力候補と言われています。
2人目は、希少な左利きのセンターバック町田浩樹選手(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)です。町田選手は、CBとSB、2つのポジションをこなせる心強い存在になります。
そしてパリ五輪世代からは、U-23アジア杯で急成長をみせた高井幸大選手(川崎フロンターレ)を推しました。193cmの長身を生かしたダイナミックな守備に加え、19歳ながら、的確なコーチングで最終ラインを統率できる能力が大きな魅力です。
また、U-23アジア杯で出場時間が多かった木村誠二選手(サガン鳥栖)も、所属クラブでの活躍次第では、招集のチャンスがありそうです。
SB
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SBは、右に身長187cmの大型サイドバック関根大輝選手(柏レイソル)。左には、両サイドバックに対応できる内野貴史選手(デュッセルドルフ)が、ファーストチョイスとなりそうです。両選手とも戦術理解度が高く、攻撃参加での貢献にも期待が高まります。
もう一人のSBは、U-23アジア杯で選考外となった、バングーナガンデ佳史扶選手(FC東京)です。長友佑都選手を彷彿とさせる「超攻撃型サイドバック」は、所属クラブのFC東京で猛アピールを続けています。国際大会において、ガンガンと前へ進む推進力のある選手は、チームに勢いをもたらすでしょう。
MF(ボランチ)
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ボランチは、U-23アジア杯でキャプテンを務めた藤田譲瑠チマ選手(シント=トロイデン)、正確なキックで攻撃の起点となれる山本理仁選手(シント=トロイデン)、中盤2列目のオプションでもある松木玖生選手(FC東京)。この3人が順当に選出されそうです。
ここに、W杯経験のある田中碧選手(デュッセルドルフ)がオーバーエイジ枠で入ってくれば、盤石な布陣が組めるはず。
ボランチ田中選手と、アンカー藤田選手がコンビを組んだ時の絶妙な攻守バランスにも期待が高まります。
また、経験値重視での招集となれば、オーバーエイジ枠で守田英正選手(スポルティング)の招集も考えられます。
A代表での実績や、欧州クラブチームでの経験値は、若い中盤に安定感をもたらしてくれるでしょう。
MF
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大岩ジャパンの中で、最もタレントが多いMF。海外組が多いため、選手選考が難航しそうなポジションでもあります。
まず、絶対に外せないのは久保建英選手(レアル・ソシエダ)。チームの顔となる、久保選手を中心としたMFの構成になっていくことは間違いありません。
さらに、もともと大岩ジャパンの10番を背負っていた鈴木唯人選手(ブレンビー)も入ってくるでしょう。所属クラブでは直近6試合で、6ゴール5アシストと好調をキープしている鈴木選手には、ビッグクラブも注目しているとの噂もあります。
MFの残り2枚は、精度の高いフリーキックが魅力の山田楓喜選手(東京ヴェルディ)と、ドリブルでの突破力に優れた三戸舜介選手(スパルタ・ロッテルダム/オランダ)を、入れるべきでしょう。
2人がもつスペシャリティは、試合を決める大事な局面で、大きな武器となるはずです。
もし、U-23アジア杯と同様に23人の選手を選べるのであれば、三戸選手と同じく、ドリブルで仕掛けることができる斉藤光毅選手(スパルタ・ロッテルダム)も招集したいところ。
しかし、18人に絞られた選手選考の中では、ドリブラーは1枚のみになりそうです。
そうなると、大岩ジャパンで評価を高めている三戸選手の選出が有力といえます。
FW
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FWは2人。大岩ジャパンの軸として活躍を続けてきたエースストライカー細谷真大選手(柏レイソル)と、1トップや右ウイングでプレー可能なポリバレントプレーヤー藤尾翔太選手(町田ゼルビア)の2人が、現実的な選択肢となってくるでしょう。
FWでサプライズ招集があるとすれば、決定力の高さを武器に「ジョーカー役」となれる、福田師王選手(ボルシアMG)ではないでしょうか。
パリ五輪世代のなかで、ずば抜けた得点能力をもつ福田選手は、大一番でのゴールが期待できそうです。
オーバーエイジ(OA)枠とは?
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オーバーエイジ枠とは、23歳以下の若手選手を中心に構成される代表チームに、24歳以上の選手を1チーム最大3人まで登録できる制度です。
オリンピック競技の男子サッカーにおける出場資格は「本大会開催前の12月31日時点で23歳未満」であることが条件となっています。
そして、この条件を満たしていない24歳以上の選手を「オーバーエイジ(Overage)」と呼んでいます。
オーバーエイジはいつから始まったのか
オーバーエイジが導入されたのは、1996年に開催されたアトランタ五輪からとなっています。
そもそも、国際オリンピック連盟(IOC)は、「勝つことよりも参加すること自体に意義がある」というメッセージを掲げ、アマチュアスポーツマンの祭典としてオリンピックを開催していました。
その後、世界各地でプロスポーツ競技の人気が高まり始めた1970年に、オリンピック規約が変更され、プロの選手もオリンピックに参加できるようになります。
その一方で、サッカーには、FIFAが運営する「ワールドカップ」がすでに存在し、世界一を決める国際大会としての存在意義を確立していました。
そこで、オリンピックとワールドカップの差別化を図るために、1992年のバルセロナ五輪から導入されたルールが、「本大会開催前の12月31日時点で23歳未満であれば、プロサッカー選手であっても出場可能」という年齢制限だったのです。
そしてバルセロナ五輪から4年後の、1996年に開催されたアトランタ五輪からは、年齢制限が緩和され、24歳以上の選手を1チーム最大3人まで登録できる「オーバーエイジ枠」が導入されました。
それから28年間、7大会にわたりオーバーエイジ制度が続いていることを考えると、「オリンピック」と「ワールドカップ」、それぞれの大会が、サッカー競技全体のレベルアップの役割を果たしているといえるのではないでしょうか。
オーバーエイジ枠候補は誰?
画像引用元:ゲキサカ
ここでは、オーバーエイジ枠の候補に挙がっている6人の選手を紹介していきます。
今回、大岩剛監督が招集するオーバーエイジ枠のメインは、パリ五輪世代で海外組が少ないCBを中心とした守備の補強となりそうです。
過去のオーバーエイジ枠を見ても、吉田麻也選手(DF)や、小野伸二選手(MF/ボランチ)といった、守備的な選手の招集がほとんどで、攻撃的なポジションでの招集は、2016年リオ五輪の興梠慎三選手(FW)のみとなります。
このことからも、日本のオーバーエイジ枠は、守備的なポジションの選手で3枠を使うことが濃厚といえるでしょう。
また、冨安健洋(アーセナル)や、三苫薫選手(ブライトン)は、クラブ事情やコンディション面を考慮し、招集の見送りが決定しているようです。
板倉滉(ボルシアMG)
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- 生年月日:1997年1月27日(27歳)
- 所属クラブ:ボルシアMG/ドイツ
- ポジション:DF
身長188cmの高さを生かした空中戦の強さに加え、1対1での粘り強い守備が持ち味のセンターバックです。
また、本職であるCBのほかにも、ボランチとしてプレーができるのも魅力の一つ。足元の技術を生かしたビルドアップから、攻撃のリズムを作り上げます。
板倉滉選手本人も、東京五輪に続く2大会連続での出場を熱望していることから、オーバーエイジ枠の大本命といえるでしょう。
谷口彰悟(アルヤラン)
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- 生年月日:1991年7月15日(32歳)
- 所属クラブ:アルヤランSC/カタール
- ポジション:DF
A代表で22試合のキャップ数がある、安定感抜群のセンターバックです。
鋭い読みや、冷静な予測を生かしたカバーリングで、簡単に最終ラインを突破させないディフェンスが特徴です。
ディフェンスリーダーとしてチームを統率できる能力は、パリ五輪世代の若い選手達に、落ち着きをもたらしてくれるでしょう。
町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)
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- 生年月日:1997年8月25日(26歳)
- 所属クラブ:ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ/ベルギー
- ポジション:DF
日本にとって希少価値の高い、左利きのセンターバックです。
本職のCB以外に、左SBでのプレーも可能。さらに、3バック、4バック、どちらにも対応可能な万能性を生かすことで、日本の守備バリエーションを広げてくれます。
攻撃面では、左足から放たれる正確なキックも持ち味の一つ。後方からの精度の高いロングフィードは、試合の局面を一気に変えてくれるはずです。
田中碧(デュッセルドルフ)
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- 生年月日:1998年9月10日(25歳)
- 所属クラブ:デュッセルドルフ/ドイツ
- ポジション:MF
自陣のペナルティボックスから相手のペナルティボックスまでをカバーする「ボックス・トゥ・ボックス」で貢献できる次世代型ボランチです。
球際の強さを武器に、攻撃の芽を事前につみ取るボール奪取能力が、高い評価を受けています。また、無駄がないシンプルなプレーと、巧みな技術を生かしたラストパスは、日本の攻撃にリズムを生み出してくれるはずです。
年齢がパリ五輪世代と近いため、短期間でチームにフィットする可能性が高いことも、招集メリットの一つに挙げられます。
守田英正(スポルティング)
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- 生年月日:1995年5月10日(29歳)
- 所属クラブ:スポルティング/ポルトガル
- ポジション:MF
ボランチに必要な攻撃力と守備力を兼ね備えた、万能型ボランチです。
中盤の深い位置から始まる、推進力のあるドリブルや、縦への繊細なパスで、得点への可能性を生み出してくれます。
守備面での危険察知能力が高く、タックルを仕掛けるタイミングも抜群。ガツガツと当たりに行きながら、クリーンにボールを奪い取る技術は、国際大会で心強い存在になるはずです。
上田綺世(フェイエノールト)
画像引用元:Instagram
- 生年月日:1998年8月28日(25歳)
- 所属クラブ:フェイエノールト/オランダ
- ポジション:FW
強烈なミドルシュートや、打点の高いヘディング、巧みなワンタッチフィニッシュと、多彩な得点パターンをもつストライカーです。
相手ディフェンダーとの駆け引きや、絶妙なポジショニングを武器に、ゴール前で決定的な仕事をしてくれます。
また、前線でのターゲットマンとしての役割や、ポストプレーでのチャンスメイクができるのも魅力の一つ。
今回、攻撃的なポジションの選手でオーバーエイジ枠を1つ使うのであれば、上田綺世選手の一択でしょう。
久保建英招集の可能性は?
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まず大前提として押さえておかなければいけないのは、FIFA管轄外のオリンピックに対しては、各国代表の協会側に拘束力がなく、出場の可否は所属クラブとの交渉次第となるということです。これが、五輪での選手招集におけるA代表との大きな違いとなります。
現在、久保建英選手が所属する「レアル・ソシエダ」は、疲労の蓄積と、新チームへの合流が遅れることを懸念し、パリ五輪招集に難色を示しているとの報道があります。
とはいえ、東京五輪の3位決定戦に敗れ、人目もはばからず号泣した久保建英選手にとっては、今大会で2年前の雪辱を果たしたいところ。
大岩剛監督は、「久保は出たいと言っている。あとはクラブ次第。」と、久保建英選手に五輪出場の意志があることを明かしています。
また、スペイン最古のスポーツ紙“ムンド・スポルティーボ”は、レアル・ソシエダ関係者が「久保本人がオリンピック出場を望んだ場合、直接話し合って合意できるように努力する」と、回答したことを報じました。
この発言は「条件次第で出場を認める」と、受け取れることから、久保建英選手のパリ五輪出場の可能性が高まってきたといえるでしょう。
まとめ
今回は、パリ五輪サッカー日本代表メンバーを予測してみました。
この記事で予測した、大岩ジャパンのメンバーは以下の通りです。
【GK】
【CB】
【SB】
【MF(ボランチ)】
【MF】
【FW】
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オリンピック男子サッカーの登録選手枠は、わずか18人です。
そのため、複数ポジションをスムーズにこなせる「ポリバレントな能力」をもつ選手や、プレースキッカー、ドリブラー、ターゲットマンといった、独自の「スペシャリティ」をもつ選手の優先度が高くなると予測されます。
もちろん、絶対的な存在感を示してくれる久保建英選手の招集は必要不可欠です。
2024年7月、パリ五輪のピッチに立つメンバーは、これまで大岩ジャパンに招集されてきた選手達の思いを胸に、熱い戦いをみせてくれるでしょう。